岩座神の絵日記 2006年1月29日
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忌明法要
快晴の朝。千ヶ峰が遠くから綺麗に見える。
今日は、まさみさんの親父さんの忌明法要に呼ばれている。
まさみさんの家とうちの家は同じ株内になっている。「株」というのは、普通に言う親類ほどの深い関係では無いのだが、古い血縁に基づく共同体で、たいてい、ある本家とその新宅とそのまた新宅と(以下略)というあつまりである。法事などには、その家の親類と株内を呼ぶのが通例だ。たとえ普段は親しくしている隣家であっても、株内でなければ呼ばない。
お寺から坊さんを呼んで法要をした後、それまで家に安置していたお骨を墓に納めに行く。
岩座神には株ごとに数箇所の墓があって、我々の株の墓は、僕の家からほんの近い所、棚田に接する里山に位置している。
こんもりとした森になっていて、子供の頃は、このお墓でよく蝉取りをしたものだ。
そう言えば、昨夏、子供たちを連れて蝉取りに行ったのだが、蛭(ひる)がポトンと頭上から落ちてきたので、慌てて逃げて帰った。昔は蝉取りをしていて蛭に襲われたことなど無かったのだが、地球の温暖化で、このあたりも生態系が変化しているのだろうか。
納骨も済むと、家に帰って、参列者一同に御馳走と酒が振舞われる。宴会をして、死者との別れに一応の区切りを付ける訳だ。